大きな窓とクィーンサイズのバンクベット
クィーンサイズのバンクベットはパネル構造の極み
軽トラキャンピングシェル「ろしなんて」の特徴的な外観として、左側面の大きな窓(高さ500mm×幅1200mm)と運転席に覆いかぶさるような長大なバンク(展開すると幅約1600mm×奥行き1900mmのクィーンサイズのバンクベットになります)がありますが…
従来のキャンピングシェルの常識では、バンクベットの設定があるキャンピングシェルにはバンクの床を支えるためにバンクの床面の高さに堅固な梁がシェルの前から後ろまで通っているので、バンクベットの床の高さにかかる場所に窓のような開口部を設けることができなかったのです。
例えば下の図は、ろしなんてを木造フレームで作ろうとした場合の構造例で、バンクを支えるための赤い通しの梁がシェルを横切っているのが分かると思います。
その梁が、ちょうど座った時に目線の高さになるので、窓の位置が梁の上にしても下にしても景色を楽しめる窓にならないと思います。
薄ピンクが窓の設置例(窓(A)の左右にも設置できますが…)ですが、シェルの側壁が通しの梁に遮られて、ろしなんてのような大きな窓を設置できない理由が理解してもらえると思います。
しかも座った時の目線を避けるような位置にしか窓を設置できない理由も…
ろしなんてのバンクベットは幅約1600mmあり、奥行き1450mmにヘッドボード450mmを合わせて奥行き1900mmになるので1600mm×1900mmのクィーンサイズのベットスペースになり、大人二人が悠々と就寝できる軽のキャンパーでは最大クラスのベットスペースになっています。
まぁ〜新規格の軽キャンパーなら、このくらいのバンクベットを採用するビルダーさんとかありそうだと思いますが、ろしなんては500mm×1200mmの巨大な窓が左側面(必要なら右側面にも窓を付けられます)に開いているのです!
しかも座った時にカウンター越しにドンピシャの位置に大きな窓が空いているので旅先の風景が一望できます。
が…
クィーンサイズのベットということは、二人就寝という前提になるので、最低でも200kg〜300kgくらいの耐荷重がないと不安になりますよね!
ということで普通のキャンピングシェルだと、バンクを支えるために頑丈な通し梁がシェルを横切るように入っているのですが、ろしなんての側壁には大きなまどがあり、バンクを支える通し梁がないのですよ!
ぢゃあ〜バンクベットにかかる200kg近い荷重をどうやって支えているのか…
まぁ〜ろしなんてはパネル構造で作られているので、シェルの荷重は全てパネルで支えるので、元々通し柱みたいなのは不要というか無いのですよ!
ただ荷重のかかり方でパネル構造にも得手不得手があるので、様々な方向からかかる荷重をパネルの得意な方向になるように誘導することが肝心なのです。
じつわ、ろしなんてのパネル構造で唯一の弱点なのが、パネルの継ぎ目を開くような荷重なのですが、シェルの上端の赤いフレームがパネルの継ぎ目が開かないように強力に引っ張って支えています。
この赤いフレームは実際は3cm角くらいの角材なのですが、このサイズでも引っ張り強度は非常に強く両端を数百kgで引っ張っても伸びたり千切れる心配はありませんので、残りの荷重はバンク側壁下部を押しつぶすような圧縮荷重になりますが、パネル構造の面方向の圧縮強度は非常に強いので、荷重によってバンク下部のパネルが押しつぶされる心配もありません。
あとバンク部のフロアもサイドパネルと同じように30mmのスタイロフォームを3mmのアルミ複合板でサンドイッチしたパネルだったのですが、バンク部に乗って作業をしていた時に膝をついて移動していたらアルミ複合板が膝の形に凹んでしまったのですよ!
アルミ複合板の表面はアルミ箔みたいなものなので、局部的な力には弱くすぐに変形してしまいますが、強度的には問題ないし、この上にクッションフロアを張るので全く問題ないのだけど、なんとなく凹みが気になってアルミ複合板の上に12mmのファルカタ合板を張ることにしました。
ファルカタ合板は強度はあまりないけれど、普通のベニヤ等の合板よりだいぶ軽くて表面が綺麗なので内装の下地に良いかなと思って採用しました。
ということで、ファルカタ合板をバンクの床に貼り付けて圧着用に2ℓのペットボトル15ケースをバンク部に乗せました。
2ℓ×6本×15ケースってことで180kgの荷重ですが、普通に寝るときは先端の方は足がくるので、それほど荷重がかからないくて、手前側に荷重のほとんどがかかるので就寝時の荷重のかかり方を考慮すると1.5倍くらいに加算して良いのじゃないかな?
ファルカタ合板を圧着するために、このペットボトルと一緒に自分(80kgちょい)も乗って、揺すったり足踏みしたりしていたので300kgくらいは無問題だと思います。
接着剤が乾くまで一晩このまま置いていましたが全く異常はありませんでした。
念のため、二人並んで寝る時のような荷重パターンになるように3ケース増やして並べ直して、しばらく放置しましたが、もちろんなんの異常もありませんでした。
合計18ケースなので216kg+ケースを並べる時に一緒に乗って作業していたので300kgオーバーでも大丈夫ですね!
バンク部の床面が2cmほど沈み込んでいますが…
パネル構造の1番の弱点である厚み方向の荷重で、幅160cmで厚さ3cmほどのパネルに200kg以上の荷重をかけているのですから、もう少し沈み込むかと思っていましたがなんにしても想定内だったのですが、気になる方のためにバンク部のフロアパネルを支えるように運転席の上にルーフキャリアのようなものを製作しようかと思案中です。
